『もっと強くなる』

最近の良太郎が頻繁に使う言葉。
今までは過去へ飛んでも自分達が憑いて戦うことが可能だった。でも今はそれが出来ない。時間は確実に変わってきている。
良太郎やハナ、ナオミやオーナー、そして自分以外のイマジンであるモモタロスらとずっと一緒にいられるわけではないということも前から承知していたし、以前砂になって消えた時も覚悟は出来ていた。
それなのに。

「……ウラタロス?」

遠慮がちに名前を呼ばれ、沈んでいた意識が浮上する。
はっと視線を上げるといつもの優しげな、それでいて心配の色を滲ませた表情の良太郎がこちらを覗きこんでいた。
いつの間に来たのだろうか。そのことにすら気付けないほど思考の波に呑まれていたのかと内心で舌打ちをする。

「どうか、した?暗い顔してたけど……」
「大丈夫。ちょっと、寝不足なだけだよ」

苦笑してそう告げれば何か言いたげな顔をしたものの、「そっか」と一言言うだけだった。
良太郎は鈍いように見えて人の心に聡い。こちらが触れてほしくないことには余程のことがない限り触れないでいてくれる。今はそのことがとても有難い。

(ねぇ、良太郎。強くなる、と君は言うけれど)

僕らの未来が違うものであると理解していた。
消えてしまったときも、しょうがないと抑えることが出来た。

(そのことが君が僕らからどんどん離れていってしまうみたいで、)


怖いんだ、と言ったら君は笑うだろうか?




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